大垣花子さんエッセイ

はじめに

こんにちは。
これから、ここ数年間の私の授業実践を紹介させて頂きます。

授業づくりは、「子どもたちと向き合う一瞬を大切にしたい」という思いでスタートします。
いつも悩みながらの実践であることを始めにお知らせしておきます。
最後に

今回で連載を終わらせて頂きます。実践してきたことをふり返る良い機会となりました。
読んでくださった皆様、関係の皆様に感謝申し上げますとともに、今後も尚一層のご指導をよろしくお願い申し上げます。

今また、私は講師という立場で子どもたちと授業を創っています。子どもの輝きとエネルギーに日々驚かされながら…。
卒業・きりなし歌2

ああでもないこうでもないと言いながら、かえ歌「卒業きりなし歌」が出来上がりました。

『六年生 そつぎょう きりなしうた』

さよならさんかく   またきてしかく
しかくはつくえ    つくえはだいじ
だいじはみんな    みんなははらぺこ
はらぺこはきゅう食  きゅう食は桃三ラーメン

さよならさんかく   またきてしかく
しかくはこくばん   こくばんはくろい
くろいはすみ     すみはかきぞめ
かきぞめははる(貼る)はる(春)ははずむ
はずむは元気     元気はみんな

さよならさんかく   またきてしかく
しかくはこうてい   こうていはあそぶ
あそぶはしゅう会   しゅう会はたのしい
たのしいはわらう   わらうはえがお
えがおでさよなら    さよなら六年生

さよならさんかく   またきてしかく
しかくはおくじょう  おくじょうは高い
高いは六年生     六年生はやさしい
やさしいはあいさつ  あいさつはこんにちは
こんにちは中学生   もうすぐ中学生

さよなら六年生    またきて六年生
六年生は楽しい    楽しいはあそび
あそびはボール    ボールはゴール
ゴールはそつぎょう  そつぎょうはさよなら
さよなら六年生    またきて六年生
さよなら六年生    またきて六年生


「学校で大好きなもの=給食」という子はたくさんいます。滑稽ですが一番の関心事かもしれません。

体育館での書き初め展、月に一度の児童集会活動の遊びなど、六年生は低学年にとって身も心も大きな存在として
映っていたのだなあと嬉しくなりました。

「笑顔でさよなら」とか「こんにちは中学生」と言うことばは、ちょっぴりおとなに近づく六年生の繊細な心を言い当てているようで、
気にいりました。子どもって、すごいです。

体育館で発表する時は、この詩を立体的に表現します。

工夫したいところなど、子どものアイデアを大事に取り入れながら構成は教師がやることになります。次のように工夫してみました。

○「はらぺこ」は元気のない声で。 「給食」のとき、突然元気な声にする。 「ラーメン」は全員で、食べたそうに、 嬉しそうに言う。
○「春」から「はずむ」までは、 だんだん元気に、明るく言う。
○「たのしいはわらう」のあとBGM風に、 「笑う・笑う…」とリズミカルにいれる。
○「あいさつはこんにちは」のあとは、 続けて「こんにちは(3人)」 「こんにちは(10人)」、「こんにちは(25人)」、
 「こんにちは(全員)」と、 リフレインしながらだんだん大きく響かせていく。
○「ボールはゴール」のあとは、 「ゴ〜〜〜ル!」とサッカーのゴールを イメージして大きく全員でコールし、
 楽器(タンバリン・すず・カスタネット ・鳴子など)を鳴らし 「卒業おめでとう」の雰囲気を出す。

このように、少しですが動きや音を入れると劇っぽくなり、ますます張り切って六年生に言葉やその思いを伝えようという気持ちになります。
学年全員で行う朗読劇は迫力のあるものとなりました。

他にも、「身体表現で思い出クイズ」「積み上げ言葉で人間芝居」など、日常の学習に少し手を加えるだけで
できる楽しい発表は身近にたくさんありそうです。

子どもが動けばそこには表現が生まれてきます。その表現の芽を摘みとることなく、楽しみながら大きく育てることができたら
これほど嬉しいことはありません。子どもの目は起きている間、一瞬たりとも休むことはありません。
一瞬一瞬の出会い、響きあいを大切にしたいとあらためて感じています。

卒業・きりなし歌1

ことば遊びをたくさんやった2年生が「6年生を送る会」で取り組んだのは
『さよならさんかく またきてしかく』(ことばのこばこ〜和田誠〜すばる書房)のかえ歌つくりとその朗読劇です。
  
  「さよならさんかく またきてしかく
   しかくはべっど べっどははずむ
    _____________
   あかいはゆうひ ゆうひにさよなら」
  
子どもたちは、ことばがしりとりになっているところが大好きで何回も何回も読みます。
読むというより、リズムを作ってうたい出します。

いつのまにか自分流に言葉をおきかえて楽しそうに歌っているのを見て、
「六年生を送る会で、かえ歌を作ってやってみる?」と聞いてみたところ、「やる!やる!」とおもしろがっていました。

翌日からかえ歌作りです。一人ひとりの中に6年生の姿がどのくらい印象深く入っているか、6年生との関わりが
どのようなものだったかによって内容が変わります。

リズムを大事にしたいので、かえ歌にするところを決めて考えることにしました。

さよならさんかく   またきてしかく
しかくは(   )  (   )は[   ]
[   ]は《  》  《   》は【   】
【  】は『  』  『   』は{   }

自由に考えますが、最終的には学年のみんなのを合わせて創り上げるので、全部ができなくてもいい、
「1行でいい!」と言うことを伝えます。

3学期の始め、書き初め展をやったあとだったからでしょか、次のように考えてきた子がいました。

 さよならさんかく またきてしかく
 しかくはこくばん こくばんはくろい
 くろいはすみ すみはかきぞめ
 かきぞめははる ……?

ここまで考えたけど、「あとはまだできない。」といってきました。

T「書き初めを思いついたの?6年生、すごく上手だったね!」
C「『希望の春』って書いたんだよね。」よく見て、覚えていたのでしょう。

C「先生、いいこと思いついた。続きだよ。」
「…かきぞめははる はるははずむ」
「春は、気持ちいいから。」
T「えっ、すごい!(貼る)から(春)に変えちゃったんだ。」
C「ほんとー。すごいアイデア!いいね!」
T「これは難しいですよ、だって(貼る)と(春)はアクセントが違うからはっきり発音しないとみんなに伝わらないし…。」

そんなことを教師が心配している間に、子どもは次のことを考えていました。

C「はるははずむ はずむは元気 元気は 六年生!」
C「できた!いいじゃない?」

このように一人ひとりが考えてきたものを発表しながら、一連ずつ創っていきます。
時間はかかりますが、創りながら覚えてしまうのがとてもいいところです。

こうして学年で考えた「六年生 そつぎょう きりなしうた」ができあがりました。

学級行事をつくる2

学級行事では、劇や朗読、こどもの創作物などをたくさんやるようにしています。

2年生のお別れ学習発表会では国語の教科書にある「スーホの白い馬」をクラス全員で朗読劇にすることにしました。

「スーホの白い馬」はモンゴルの民話です。教科書で学習する代わりに『絵本』(『スーホの白い馬』:大塚勇三再話:赤羽末吉画:福音館書店)を
使って学習をすることにしました。絵と言葉の両方を使って民話のイメージを膨らませたかったからです。
絵本は場面が分かりやすいという利点もあります。

一人一冊、絵本を持って学習をします。学校の図書館に学級の児童数分そろっていればいいのですが、
なかったので各家庭で購入してもらったり、図書館の団体貸し出し等を利用したりしました。

絵本を机の上におくと、しばらくはシーンとして、みなそれぞれにページをめくり、絵を見たり、お話を読んだりしています。
子どもたちの集中している姿をみると、それだけでも「絵本」を使って学習する価値があるように感じました。

朗読劇をつくる前に、しっかり読むことはとても大切です。場面ごとに感想を交流したり、読み取ったことを絵と文であらわしたりします。

初発の感想は大切です。絵と文で書き表します。「白馬、ガンバレ!」と大きく、強そうに白馬を描いた子、
白馬はともかく、悪者にされている狼が気になって仕方がない子は、「ぼくはおおかみはひつじをたべないと
しんでしまうからひつじをねらったおおかみはわるいことはしていないと思うよ。」

モンゴルの大草原で生きていくことにふれることができる貴重な意見です。

文章でうまく表現できない子も、「けいばに出ない方がよかったね、スーホよ。」と書き、白い馬に頬擦りしているスーホの姿を
丁寧に描いていました。なんとも言えない切なさが伝わってくるような表現でした。

殿様に対しては感情が剥き出しになります。「白馬をうばいとったくせに。乗って落ちるなんてどじじゃないの。それに白馬を殺すなんて許せない。」
「とのさまはけらいもいるし、じまんしたいと思うけど、まずスーホにあやまってやくそくの金貨3枚をあげたら?とのさま、しっかくだね。」

スーホと白馬の関係もよく見て、感じ取ってくれています。
「ぼくはスーホが白馬のことを思いながら、馬頭琴をつくったと思います。」
「白馬はスーホのことがすきで、ゆめに出てがっきをつくってくださいと、言ったんだと思います。スーホも白馬がすきでつくったんだと思います。」

また、モンゴルに詳しい方を招いて、「モンゴルの授業」をやりました。

「馬頭琴をひいてもらって、とてもうつくしいねいろだなあと思いました。ヤギの骨でできたパズルのおもちゃを見てぼくもやってみたいと思いました。」

こうして授業を積み重ねた上で朗読です。

ページや場面ごとに読みたいところを読むようにします。スーホと殿様役は固定しておきます。

当日は横3列ぐらいに並ぶようにします。スーホは途中から登場します。殿様役は少し高い位置に立ってもらいます。
競馬の時はその場でみんなで駆け足をするとすごい地響きのイメージを作り上げることができます。
馬頭琴の演奏のCDをBGMに使いました。間の取り方が難しいところなども曲を入れてあげると上手にできます。効果的になるのはもちろんです。

大草原をあらわすのはグリーンの濃淡の色画用紙です。一枚ずつもって壁のような状態をつくります。
風がふくと体を少し動かしグリーンも少しなびかせます。大変な状況だと思う時は激しくゆすったりします。
ちょっとした工夫ですが、一人一人が意外に喜んで、場面作りに参加できました。

 「スーホの白い馬は心配でした。 ながくてむずかしいお話だからです。 すこしはずかしかったです。」
 「お母さんがスーホの白い馬が すごくうまいねーと言っていました。 読み終わったあと、 母がわたしのほうをみて はくしゅをしてくれました。
 みんなうまいねーって言っていました。」

「わたしは学校へ行くとき ドキドキしていました。 なぜかというと、 その日がお別れ会だからです。
 とくにわたしは司会者だったので、 みんなの10ばいきんちょうしていました。―略―」

この子の作文はまだまだながーく続いて、夜まで書いていたらおかあさんに怒られて、
「先生、続きは春休みに書いて持っていきますから読んでね。」となっていました。

だから、また、特別な日をぜひ作ってあげたいと思うのです。

学級行事をつくる1

この連載も終盤に入りましたので、最後は学級行事や学校行事を創ることにふれてみたいと思います。

最近は一年ごとに担任を変えるという学校もあるようですが、特に事情がないならば、私は2年間担任をするほうがいいと思っています。

なぜかというと、人間関係・信頼関係がベースにできている2年目は、あらゆる活動に加速がついて、子どもたちの成長もすばらしく、
低学年でもかなりの自主的な活動ができるようになるからです。

まして高学年ともなれば大胆な行動力や思考力の深さに学ぶことも多いものです。
1年目は人間関係や信頼関係を充分に築きあげる必要があるということにもなりますが。

2年生の終わり、「お別れ・学習発表会」をやろうと計画を立てました。
2年生にとってお別れ会や学級編成替えは未知のものです。
「また、やりたい」と思うものにするか、「こんなこと、やりたくない」と思わせてしまうか、この年の体験が今後の学年に影響しますから、
計画の段階から子どもといっしょにやることが重要です。

保護者を招待して見てもらうことを始めに伝え、2年間で楽しかったことや、見てほしいと思うことを出し合います。
話し合いにはたっぷり時間をかけますが、いつでも思いついたら紙に書いて出すように言っておくと、たくさん書いてくる子が必ずいます。

主なプログラムは次のようになりました。

○こんなことできるよ!
リズムなわとび(全員)
鍵盤ハーモニカの演奏
こま回し
はねつき

○思い出(成長のアルバム)
クイズ入り呼びかけ(全員)
保護者より(入学の頃の思い出)
運動会で取り組んだ表現(鳴子・忍者ヒーローの踊り)
学芸会・ピカピカ2年生ソング

○朗読劇
スーホの白い馬(全員)

○保護者の出し物

○合唱(全員)
勇気100パーセント
翼をください

それぞれの希望を最大限取り入れてプログラムをつくりました。最後の合唱は一曲にする予定でしたが、意見が2分しました。

『勇気100パーセント』は、「元気に歌える」「自分たちのクラスにふさわしい」「みんなが好きな曲である」
男子のほとんどが絶対この曲がいいと譲りません。一方、女子に多かったのが『翼をください』です。
理由は、「何となくお別れ会には、『勇気…』よりふさわしいと思うから」「おかあさんや、おとうさんもいっしょに歌えるから」

結局、2曲を歌うことになりました。
T「では、どっちを先に歌いますか?」
C「あっ、そうか。」
C「最後に歌うのは2年1組らしいほうがいいと思います。」
C「オー、いいね。」
C全(拍手とともに)「さんせーい!」
T「ということは…?」
C全「勇気100パーセントでーす。」
最後に元気な姿を見せて学年の幕を閉じる、すてきなことです。

このような話し合いと同時進行で当日までの役割分担をします。
司会者を誰にするとか、会場の雰囲気作りをどうするとか、BGMの係りを決めて練習するとか、2年生の力でできることは
すべてやりきるようにします。

子どもの書いた招待状が保護者に届くと、いよいよ本番間近です。
しょうたいじょう―家の人へ―
「もうすぐ2年生も終わりです。おわかれ会をみんなで開きます。
スーホの白い馬やポップコーンをやります。ぜひきてください。」
「つながるジャンケン遊び」

前回は“幸せの山分けジャンケン”を学級で楽しみ、子どもたちが心をひらいていく様子を紹介しました。

今回は全校行事などでできるジャンケン遊びを紹介します。
 
“サッカージャンケン”

勝ち抜きジャンケンをサッカー型にしたものです。
ジャンケンに勝つと、ゴールが決ったように嬉しい気分になります。
全校行事など大勢でやると盛り上がるでしょう。

校庭全面にジャンケン係(前5〜6人・中3人・後2人)がゴール前に3列、適当な距離をおいて立ちます。
この人数は児童数によって増減します。ゴール前にはキーパーが1人立ちます。
反対側のゴール近くにスタートラインをつくります。
スタートの合図でまず(前)のジャンケン係とじゃんけんをします。

勝ったら(中)のジャンケン係とじゃんけんをします。また勝ったら、(後)のじゃんけん係へと進んでいきます。
そこでも勝ったら、いよいよゴールキーパーと対戦できます。ゴールキーパーに勝ったら得点1です。

前・中・後・キーパーと4人の人とジャンケンをして全部勝てたら得点となるのです。
キーパーが負けた時は、用意しておいた得点カードを、相手に1枚あげます。

キーパーのところまで行く前に負けてしまったら、スタートに戻り、再挑戦です。
得点をとった人も2点目に挑戦します。

決められた時間内で行うことができるので、朝の集会などでも時間厳守(?)できる遊びです。

ここでぜひルールに盛り込みたいのは、ジャンケンをするときの挨拶です。
全校でやると初対面同士でジャンケンをすることになりますから…。

挨拶といっても「ドン!」と言いながら両手を合わせるとか、「ヨ・ロ・シ・ク!」と言いながら
握手をするといった簡単なものでいいのです。

勝ったら「自分の名前を言って」次に進むなど、簡単なルールを入れるようにします。
ジャンケン係を集会委員の児童がやったり、教職員がやったりすることで様々なコミュニケーションがうまれてくると思います。

学年対抗にすると一年生が一位になることもあります。
サッカーをやったら一年生が一位になるのは無理でも“サッカージャンケン”なら学年に関係なく
勝ったりするところが嬉しいところです。

“カモンジャンケン”

「カモン」=「come on」のことです。
体育館や校庭でできる遊びで、グループのつながりを大切にしたい遊びです。
体育館の場合、横壁側に一人、ジャンケン係(A)が立ちます。
反対側の壁の方に班(4~5人・B~F)が立ちます。
スタートの合図でB一人がAに向かって走っていき、「ドン・じゃんけん・ポイ!」とやります。

【Bが勝ったら】、Aのまわりをまわって戻り、次の人Cにタッチします。
こんどはCが(A)の頃に走って行きジャンケンをします。
このようにB〜F全員がジャンケンに勝って元の位置に戻ってきたら終わりです。
一番早く戻れたチーム優勝となります。

【Bが負けた時】、Bは待っているチームに向かって大きな声で「カモン!」と言い、みんなを呼びます。
呼ばれたチームは全員が走ってAのまわりをまわって元の場所に戻ります。
負けたら何度でも「カモン!」とチーム全員を呼びます。
「カモン!」と呼び、「オッケー!」と応答します。Bが勝つまで走るのです。

走る代わりに縄跳びを取り入れ、「カモン、交差跳び!」等と跳び方を言うと、色々な跳び方の練習を組み込むことができます。
冬の寒い時などは運動量も多く、負けても楽しく、しかも体力作りができるジャンケンゲームです。
ムカデのようにしてもおもしろいでしょう。

「カモン!」と呼びかけること。「オッケー!」と応えること、この応答を楽しむことで、じゃんけんも楽しくなります。

他にも“グリコジャンケン”を体育の授業~走り幅跳びの導入時に入れたり、“王様ジャンケン”を道徳〜挨拶の仕方〜に
取り入れたり工夫すると“和”が感じられるようになります。

教室に“和”の雰囲気があるとき、子どもの表現は間違いなく生き生きとしてきます。

誰でもできる、たかがジャンケン!されどジャンケン!です。
「心をひらくジャンケンいろいろ」

「先生ジャンケンやろう!」と迫ってきて、負けると、もう一回、もう一回と要求してきます。
勝つと、「ヤッター!先生に勝ったー。」と、大喜びです。子どもはジャンケンが大好きなのですね。
毎日の生活の中にじゃんけんの楽しさをたっぷり取り入れることで子どもの表情までも変わってくるから驚きです。

◆“給食ジャンケン”で“幸せは山分け”

みんなが食べたいときは分け合って食べる!食べられるって幸せ!だからジャンケン!

ただそれだけのことですが、好き嫌いが多い子や、食の細い子も給食時間が楽しみになってくるから不思議です。

「子どもたちの六年間をふり返ると、たくさんのことが印象深く思い出されます。

―中略―

学校が大好きで、行事が大好きで、学校から帰ってくると勉強はさておき、先生方のことや、友だちの話、
“給食ジャンケン”で勝っておかわりをしたこと等々。話し出したら止らない毎日でした。

人前での自己主張があまり得意ではありませんでしたが…

以下略…。」

六年生で1年間だけの担任でしたが、卒業を迎えた時の保護者のことばです。
友だちといっしょにいるより一人でいる時間の方が多かった子でした。
進んでじゃんけんに加わるようになり、行事などでは応援団に立候補するなど、色々な面で積極的になっていきました。

給食ジャンケン――例えばみかんが1個残ったとします。
おかわりしたい子が2・3・4人ぐらいの時は、皮付きのまま割って分けます。
それより希望者が多い時は皮をむき房の数を数えます。房の数より希望者が多い時は“ジャンケン”をします。

そうです、このジャンケンで勝った子は、みかんを1房おかわりできるのです。

これ以上分けることは難しいと思えるところまで分け合うようにします。この分け合う数を決めるところがとても重要です。

みかんなら1房ですが、かたい林檎などは小さくナイフで切ってあげることもしばしばです。

始めのうちは公平に分けられるように教師が手本を示しますが、徐々に自分たちでできるようにしていきます。

でも時々、子どもなりに判断して、「これは先生がやって!」と頼まれることもあります。

教室の真ん中に配膳台を置き、その周りに班ごとに座って食べていますので、ジャンケンは教室の中央でやるのです。
“ジャンケン広場”となってみんなの注目の的になったりもします。おかわりは狭き門?になればなるほど盛り上がります。

みている子も成り行きを見守ったり応援したり。
そして勝ってもらえたみかんの1房を口に入れる時は最高の幸せ?を感じる時です。

嬉しそうに自分の席に戻り、トレーに大事そうにおく子もいれば、潔くポーンと口の中にほうり込む子もいます。
ヤッターっといってみかん一つを高々と掲げている子もいます。負けた子は「あーあっ」と残念そうです。

それでもじゃんけんですから「あしたがあるさ!」と気分転換も早いのが特徴です。

低学年では泣き出したり、どうしてもほしくて乳幼児のようにだだをこねる子もいます。
ルールとして教えていくのですが、「じゃあ、あげるよ」となだめたりする場面もあったりします。

「おかわりタイムでーす。」大きな声で合図をかけるのは給食係です。
「今日のおかわりは○○でーす。」とみんなにわかるように発表すると、「おかわり希望者は出てきてくださーい。」
いよいよ給食ジャンケンの始まりです。

不思議なのですが、食が細いと思われるクラスでも1年後には学校でナンバー1〜ナンバー3の食欲旺盛学級になります。
ある2年生では、六年生と同じくらい食べると評判クラスになっていました。

変わっていく子どもたちを見ていると、上記の6年生のように食欲と意欲は無関係ではないと
思うところが多く発見できます。“幸せの山分けジャンケン”と名づけています。


次回は行事のなかでのジャンケンを紹介します。
            
「表現を楽しむ・コミュニケーションを楽しむ」

授業が終わった瞬間、待ってましたとばかりに校庭に飛び出していく子はどこのクラスにもいます。
彼らの目はとても生き生きしています。

しかし、何をするでもなくフラフラと教師のそばにくる子が時々います。
聞いてみると、遊ぶ子がいないとか、遊びたくないとか、遊びたいことがないなどの理由が返ってきます。

わたしは本当にそう考えているとは思えないのです。そこで次の休み時間などに、友だちといっしょに遊ぶように声をかけます。

T「Aちゃん、Bちゃんたちが縄跳びをするらしいけど、入れてもらったら? 縄跳び、嫌いじゃないでしょ。」
C「うーん、嫌いじゃないけど…。」
T「じゃあ、入れてって言って、いっしょに遊んだら?」
C「……?」

自分から「やろう。」とか、「入れて!」という言葉はそう簡単には出てきません。

そこで次は、外に出ようとしている数人の子たちに向かって、T「Bちゃんたち。
Aちゃんが何をして遊ぼうかって悩んでいるから入れてあげてくれる?」

こちらも友だちのことを気配りするなんていう余裕はまったくありません。
C「え、いいけど…。」
T「いいって、Aちゃん良かったね!みんなと遊んでいらっしゃい。でも、自分で「入れて」って言わなくちゃ、ね。」
C「入っても いい?」少し小さめの声でAちゃんが言いました。
C「いいよ、はやく行こう!」と言いながらAちゃんの方にみんな近寄ってきてうれしそうに校庭へ出て行きました。

まだまだ自分から関わりをつくっていけない子がたくさんいます。日常的なフォローの必要性を強く感じます。
そんなフォローの一助になるのが歌や曲、ゲームなどを使いながら、コミュニケーションする楽しさを体験することです。

前回紹介した「世界中のこどもたちが」作詞:新沢としひこ、作曲:中川ひろたかの歌と曲を使って体育館などの
広いところでたっぷり楽しむことができます。

前回は8拍あるいは16拍ごとに握手をする相手を替えていったり、握手だけでなく背中を合わせたり、
腕を組んでスキップをしたり、触れ合うことを楽しみました。

今回は自由に表現することを楽しむ内容です。

曲に合わせて歌い歩くことは同じなのですが、予め次のようなことを話しておきます。
教師が曲の途中で「1」、「2」、「3」のような数を言ったら、その人数が集まること、
そして手をつないだり、腕や肩を組んだり、リズムに合わせ歩いたりスキップしたりします。

信号の色、例えば「赤」と言われたら歩くのはやめて、ストップします。「青」と言われたらまた歩き始めます。

数字と色を組み合わせながらやると、複数の友だちといっしょにやる楽しさを味わうことができるでしょう。
もちろん一人で表現するのびやかさもたっぷり体験させたいものです。

さらに、「海」「空」「陸」等も付け加えていきます。

「海」は、海に関係あるものを表現し、「空」は空をとぶ生き物を表現しようなどと決めておくわけです。
ことばのイメージも広がっていきますし、瞬時に考え、表現するということは集中なくしてできることではありません。

子どもの好きな曲、平和の願いが込められた曲、世界のこと、地球のことを考えるにふさわしい表現活動が展開できると思います。
他にもすてきな曲や本がたくさんあります。深く味わいながら子どもたちに伝えたいていきたいと思います。

「表現を楽しむ・コミュニケーションを楽しむ」

「歌って、踊って、文化のある学級づくり」―わたしが新米教師の頃の目標です。

一日のスタートは歌を歌うことに決め、毎日歌っていた時、「学習に始まり、学習に終わることが、学校では大事なんだよ!」と
先輩教師に助言され、考え込んだりしたときもありましたが、運動会や行事の時、踊りは"創作"にこだわったり、毎日本を読んで聞かせたり、
リコーダーや体操、縄跳び、クロッキーなど、やる時間も学年も様々ですが、色々なことを試みてきました。

常に、子どもにとって楽しい事はないかと考えている自分がいることに気付いたのは教師として「ベテラン?」と
いわれるようになった頃かもしれません。
今考えるとおかしいのですが、やってきたことは間違ってはいなかったかな?と思っています。

当たり前のことなのですが、子どもが変われば指導も変わります。
臨機応変に対応していくことは、随所で力を試されますが、やりがいもありとても楽しいことです。

子どもの大好きな曲を使い、平和の願いを込めながら表現活動を楽しむことができました。

『世界中のこどもたちが』作詞/新沢としひこ、作曲/中川ひろたか
軽快で、子どもたちの大好きな歌です。多くの子が知っている曲です。

低学年を担任したとき、朝の歌として学級で歌いました。
CD(音楽センター・クラスでうたうこどものうた6地球の息吹)をかけると心もからだも弾んでくるようです。

歌いながら自由に教室の中を歩き回っていいことにすると、曲にのって元気よく歩き出します。
歌が終わるまでに自分の席にもどるように言うと、歌の終盤には、自分の席の近くで(もうすぐ!もうすぐ!と気にしながら)足踏みをしている子や、
わざと遠くにいて最後は大股で歩いて自分の席に着く子など、曲を聞きながら楽しんでいることがわかります。

曲が終わった時には全員見事に着席して笑顔で座っています。一日が笑顔でスタートできるというわけです。

毎朝歌うわけですからメニューを変えていきます。

○前記したように
一人ひとりリズムに合わせて歌いながら自由に歩く。
すれ違う時は目と目を合わせる。
にっこりしたり、会釈したり、なかにはにらめっこをしている子も。

○♪8拍(または16拍)〜
(ひとりで自由に歩く)
♪8拍(または16拍)〜
(友だちと出あい、握手をする)
♪8拍(または16拍)〜
(ひとりで自由に歩く)
♪8拍(または16拍)〜
(ちがう友だちと出あい、握手)
  
このように、歌いながら「歩く・握手する」を繰り返します。

握手する相手を変えるようにすると、多くの子と握手できます。
よく見ていると握手の仕方にも色々な思い(?)が入っているのがわかります。
それぞれにコミュニケーションをとっているのかもしれません。

○握手の変わりに両手合わせ(順手・交差手など)、肩あわせ、背中あわせ、片腕を組んでスキップで回転など、その時々で色々変えていきます。
背中あわせなのにおしりを合わせてキャッキャッと喜んでいる姿も出てきたりします。とても子どもらしいです。

○体育館など広い場所では、歩くところをスキップに変えて上記のようなことをやります。

このようにコミュニケーションのための付加を増しながら様々に展開していきます。

2004年にこの歌が絵本になりました。『世界中のこどもたちが103』講談社著者『平和を作ろう!絵本作家たちのアクション』

メッセージの中に「この1冊は絵本作家103人と平和を願うたくさんの人たちの熱意で作られました。」と書かれています。

絵本が加わったので、表現の授業をさらに展開することを考えました。

この続きは、次回に。

「ホットケーキ作りは、皿回し!」
  
秋には、学芸会が計画されている学校もあると思います。

2年あるいは3年に一回の行事ですから、劇づくりの授業は楽しいものにしてあげたいものです。
「劇、大好き」といえるような授業計画を立てることは教師の大きな役割といえるでしょう。

かつて全劇研のオープニングで、会場中が皿回しでいっぱいになった場面をわたしは忘れることができません。
あんな楽しいことを全員でできたら…、と漠然と思い続けていました。

80人近い腕白3年生と、「ピカピカ金色!ぼくら」(梶本暁代作)の脚本に出会った時、この漠然とした思いが
「皿回しを全員でやろう!」というはっきりしたものになりました。

劇のあらすじは――
朝の教室、チャイムがなっても先生が来ません。日直の子が職員室にむかえに行っている間に、ミニ先生役の子を中心に
自分たちで決めた勉強を始めようとします。

ホットケーキを焼いて食べる勉強をしたいグループと、アスレチック(公園)で遊ぶ勉強をしたいグループが
言い合っていますが、お互いに譲れません。

それぞれいいところをアピールします。

応援団の歌と踊り・興味深い「生卵割り」・パワフルな「アクロバット風演技」などを展開してどちらかに決めようとしています。

――といったものです。

皿回しをどこでやるのかといえば、ホットケーキ作りを皿回しに見立てるわけです。
応援団役の子たちが皿回しを披露しました。

歌って踊った後、応援団:「おいしい、おいしい、ホットケーキ!」(フレー!フレー!のリズムで。)
応援団:「作ろう、作ろう、ホットケーキ!」(フレー!フレー!のリズムで。)
応援団リーダー:「準備オッケー?」(ここで棒を持ち、皿回しの準備をする)
応援団全員:「オッケー!」(といってみんなで皿回しを始める。)
全員が調子よく回ると会場から拍手。ここで、応援団リーダー:「焼けたー!」
応援団全員:「焼けたー!」といいながら、全員で皿をポーンと上に投げ上げ、落ちてきた皿をキャッチします。

本番ではホットケーキ応援団の子だけが皿回しをしましたが、劇をつくる過程では、始めに、全員で皿を作りました。

円形に切ったダンボールをホットケーキにするのは子どもたちです。おいしそうな色をつけました。

C:「ぼくのはね、少しこげているんだよ。よく焼いたほうがおいしいでしょ。」
T:「なるほど、こんがりホットケーキだね。」
C:「わたしはうずまきにしたの。回った時この方がきれいかな?と思って…。」
T:「どう見えるか?っていうことまで考えたの?すごーい!」

たくさんの小道具や大道具を作ることはしませんが,何か一つ作ることで劇への意欲がわいてきます。
作っている途中で、子どもの声が色々聞こえてきます。「本当にホットケーキが食べたくなっちゃった。」
「あー、やっぱりホットケーキ応援団(の役)になろうかな?」

子どもの呟きをもとに授業の展開を変えていくこともあります。

劇が終わったら、ホットケーキを焼いてみんなで食べよう!ということもその一つです。

皿回しの練習はいつでもできるようにしました。休み時間などは「ホットケーキ回し」といって、誰が落とさないで回せるか?と
競争して遊ぶ姿もありました。

「もっと棒を短く持つとまっすぐ立つよ。」などと、ホットケーキの役ではない子がやり方をおしえている光景も見られました。

役を決めるのは急がないことにしています。皿回しをやるとホットケーキ役をやりたい子が増えました。
同じように全員がアスレチック派になって表現を楽しみ、馬とびや回転技、ドミノのようなものが
生まれたりすると、アスレチック役の希望がふえました。

色々な役を経験しているうちにだんだん決ってくるので心配はいりません。

この劇の詳細は、雑誌「演劇と教育2001年536号」に『子どもの表現を引き出すことを大切に、3年生学芸会の取り組み』として掲載。

さて、劇が終わったあと、ホットケーキパーテイもやりましたが、バージョンアップ皿回し大会をやりました。
どんな皿回しに挑戦するか、友だちと相談し、数人ずつのグループで発表しました。これが大いに盛り上がりました。

・タイムに挑戦グループ(腕が痛くなるまで回す)
・スピードに挑戦グループ(皿回しをやりながら全力で走る)
・ジャグリンググループ(回っている皿を次々と渡していく)
・新体操をグループ(体操・Y字バランスなどをやりながら回す)
・スライデインググループ(走って最後にスライデイング、それで    
             も皿は回っている)
・一輪車グループ(一輪車で走りながら回す)

ホットケーキに見立てた皿回しは、次から次へと遊びを広げていきました。
子どもの想像力をとことん楽しみながらの劇づくりだったと感じています。

「授業を楽しむ」

○食べ物は?
○飲み水は?
○原人の生活から始まった 歴史の勉強!
○大昔の物語の中にいるようで わくわくした。

これは卒業式の呼びかけ台本の一部です。
6年間の生活や学習を振り返り、全児童の声を集め、練りに練った台本の言葉です。

「歴史の勉強を始める前は、歴史なんて変わっていくものなんだから、(勉強なんてやっても)あんまり意味ないんじゃない?
と思っていたけど、なんか色々あって興味をもってきた。
疑問もでてきて、それがわかってくると楽しくなってきた。巻物を作っていたが、読み直すとおもしろい、と思った。」

通史的で、出来事の年代を覚えるといった受験勉強的な学習ではなく、歴史に興味・関心をもち、
将来的に深めていってほしいという願いで、1年間の計画を立て、学習を進めてきました。

台本の言葉となった導入時の授業をふり返ってみます。

「むかし、むかし、大昔の授業を始めます。」
C「何をやるの?」
T「想像してください。」
T「ほら、あそこに少しだけ森が残っているけど、(窓の外を指さし、近くに残る100坪ほどの林に目を向けさせる)
あんなものじゃない、見渡す限り雑木や草だらけ。草だってとげがあったり、背丈以上もあるようなものばかり。」

C「先生、どうしたの?」
C「何を始めるの?」
T「先生、なんて言ってる時じゃないの!みんなは『原人』なんだから。」
T「さあ、今日の食料を何とかしなくては!昨日からほとんどたべていないのだから。」

C「どうする?」
C「う〜ん、どうしよう?」
T「どうしようなんて言ってる人は生きられない!」
T「誰かが食べさせてくれるなんて考えている人も生きられない。」と言い寄りながら、子どもたちの考えを引き出すようにします。

C「なんか捕まえに行く。」
T「いい考えだね。あっ、あそこに動物が見えた!」
T「行く?」
C「よし、捕まえて食べるぞ!」
C「一人で心配じゃない?」
C「誰かいっしょに行こうぜ!」
C「行く、行く。」と、何人もの子が連れ立って…。
T「ちょっと、手ぶらで行くの?」
C「えっ、そこまで考えるの?」
T「だって、生きるか殺されるかの一大事だと思わない?」
C「まあ…?!」

教室を森に見立て、動物がいたと仮定します。「そんなに近づいたら逆にやられちゃうんじゃない?」と、すかさず見ている子がダメ出し?

苦戦しながらも捕まえ、みんなで喜ぶ様子を演じています。
何とか捕まえたはいいけれど、それをどうしたらいいのか?一体いつになったら食べ物として口に入れることができるのか?
など、次から次へと考えなくてはならないことが観客から出されます。

ああじゃないか、こうじゃないかと口々に言っています。

T「ひと仕事が終わって、のどが渇いたね?水道も冷蔵庫もない!」
C「どこかに汲んであるのかな?」
T「すぐ近くに川はないですね。」この地域は川がない。玉川上水の分水で穀類を作ったと聞いています。

C「川まで歩いて行ったのかな?」
C「すごく遠いんじゃない?」
C「遠くたって、なければ行くでしょ!」
T「そうすれば、生きることができる!」
 
導入の授業は、原始の時代を生きる人間を想像し、演じながら考えました。終わったあと、1枚の紙にまとめを書きます。
絵やまんがの入った楽しい記録がいっぱいです。ノートではなく巻物に仕上げていきます。

次の時間は、火おこしの体験をしました。火をおこすことは容易ではなく、「昔の人ってすごく力があったんだね。」
といってきた子の感想が印象的でした。「ほんと、力がないと生き残れなかったかもしれないね!」「このクラスで生き残れるのは誰だろう?」
などと、冗談に聞いてみると真剣な答えが返ってきました。

次はどんな授業をやるんだろうと、確実に興味・関心を示し始めました
「タンポポ研究からタンポポ劇場へ 3」

タンポポ劇場(その2)

教科書の朗読を聞きながら、表現を楽しんだ子どもたちの想像力はさらにひろがります。まだまだ楽しめそうです。
そこでタンポポ研究でとり上げた歌と詩を入れて「タンポポ劇場ナンバー2」へと発展させます。

歌「たんぽぽひらいた」こばやしけいこ作詞・丸山亜季作曲

たんぽぽ ひらいた
まっきいろに ひらいた
はなびらと
はなびらと
にっこりしながら
ひらいた

短い曲なので、朝の時間や授業の始まりに歌っていました。


  詩「タンポポ」 まど・みちお

だれでも タンポポをすきです
どうぶつたちも だいすきです。
でも どうぶつたちは
タンポポのことを
タンポポとはいいません
めいめい こう よんでいます

イヌ     …ワンフォフォ
ウシ     …ターモーモ
ハト     …ポッポン
カラス    …ターター
デンデンムシ …タンタンポ
タニシ    …タンココ
カエル    …ポポタ
ナメクジ   …タヌーペ
テントウムシ …タンポンタン
ヘビ     …タン
チョウチョウ …ポポポポ

この詩はクイズにしたり、色々な動物になって読んだりしました。
歌・詩・遊びを入れることにしておきますが、ほとんど即興で劇をやることにします。決めておくのは次のようなことです。

1、たんぽぽの曲をバックに   「たんぽぽたち」が咲き始める。
2、よく晴れた日、タンポポが咲き、    遊んでいる。
3、動物たちが出てくる。
4、動物たちは、タンポポを見て   それぞれ自由に表現する。  (動物たちはタンポポとは言いません。)  (タンポポはリアクションをしてもよい)
5、タンポポと動物たちで遊ぶ。   (即興で自由に遊ぶ)
6、途中で何か大変なことがおきる。
7、何とか解決して遊びを終える。
8、たんぽぽの歌を歌う。

このように、およその流れを決めておきます。歌は始めでもいいし、終わりでもいいと思います。
もちろん、両方で歌ってもかまいません。

動物役とタンポポ役を決め、遊びは即興でやりますが、グループによっては難しかったり、その場ではなかなか
決らなかったりすることがありますので、予め、決めておいてもいいことにします。

「とんぼになってもいい?」とか「かめがいい!」とか「せみになりたい。」など自分の好きな動物をやりたがる子もいます。
亀になった子は「あー、タッポコがさいている!」といっていました。せみになった子は「ポポーン」、トンボの子は「スイーポ」といっていました。
よく考えるものです。

訳のわからない言葉が飛び交ったりしますが、それでも遊びは続いていきます。

持ち時間を決めておくと誰かがストップをかけてくれます。終わりのポーズに拍手で終わります。「○○グループによるタンポポ劇の始まりデース」とか
「これでタンポポ劇場をおわりまーす。」などは全員で言うようにすると、恥ずかしがらずにできます。
役になって自由に遊べる時間をたっぷりとってあげられれば最高です。

「タンポポ研究からタンポポ劇場へ」

一点豪華主義の授業をやろうと決めたのは、一つ一つの教材を深く学習する時間を取ることが困難になってきていると感じたからです。

ここでいう「豪華」とは集団で深く追求し、学び合う時間を確保し、子どもたちのアイデアを取り入れ、発展的な学習活動を行うことです。

例えば、次のようなことです。

○「スーホの白い馬」
絵本を一人ひとりに持たせ、原本で学習を進める。
ゲストティチャーを招き、モンゴルの授業をする。
馬頭琴の演奏を聴く。
学級全員で朗読劇をする⇒保護者に見てもらう。
効果音は馬頭琴の曲を使う。

○「ちいちゃんのかげおくり」
かげおくりをして遊ぶ。
読み深めたあと、朗読劇にする。

○「夕日の中のライオン」
グループで紙芝居作りをする。
低学年の教室に行き、出張公演をする。

○「アルコールランプの使い方」
劇にして学習発表会で発表する。
詳細は
日本演劇教育連盟編集 晩成書房刊
『学級学年集会 春夏秋冬』に掲載。

○「マット運動」
グループで創作表現をする。

○「戦争と平和を考える詩の授業」
各自、読み深めたい詩を選び、感想文集を作る。
暗唱し、発表する。

など、色々な教科で取り組むことができます。

2年生の国語に、子どもの大好きな教材『たんぽぽのちえ』があります。これを一点豪華の授業にすることにしました。

「タンポポ研究をします。」この一声で授業が始まります。『研究』」のことばを聞くと、子どもたちの表情が変わります。
何かすごいことをやるのかなとうれしい気持ちになるみたいです。

「今からみなさんはタンポポ博士です!」と言って、虫めがねを用意してあげます。
虫めがねを持つと、さらにやる気満々です。さっそく外へ出てタンポポ探しをします。

タンポポ以外にも虫めがねで色々なものを見たがるのは当然ですが、最初は花びらを見るように言っておきます。

枚数を数えたり、つき方を見たり、においをかいでみたりと、たくさん調べるのです。

(当然ですが、虫めがねの安全な使い方は教えます。)

研究絵本(タンポポブック)にするため

1、花びら
2、わた毛
3、葉と茎
4、根

と4回に分けて観察研究します。一回ごとに題をつけ観察したことを絵と文でかいていきます。最後に表紙をつくり、綴じて完成させます。

タンポポブックには、虫めがねを使って見た色々なことがかかれています。
「花びらって丸いかと思ったけど、細長かったです。」「わた毛の先についているのが、たねだとわかりました。とっても小さいことがわかりました。」

教科書には根のことは書いていないのですが、「根っこを掘っていたら、幼虫がいっぱい出てきてびっくりしました。
もっともっと、ふかくほってみたくなりました。」と、子どもの関心は広がります。

「お父さんといっしょに庭でほりました。」と言って教室に持ってきてくれた子がいます。
その根の長さにみんなびっくりです。算数で長さの勉強をしていたので、はかってみました。
なんと、48cmもありました。実際に見ると「タンポポってすごいね。」と言うことばになって返ってきます。

「ねっこも虫めがねで見ていいですか?」「もちろん。よーく見てね。」家の人の協力が入るとがらっと研究も変わっていきます。
「先生、たんぽぽの葉っぱっててんぷらにして食べられるんだって。」「タンポポコーヒーもあるんだって。」と、得意げです。

タンポポブックと平行してタンポポ劇場の準備です。
「もう一つの係り「あっと驚く 目覚まし係り」」

「ねむいよ〜」と訴えたり、何かやることに対しては「めんどくせ〜」と言ったり、疲れているのか、ぐったりしていたり…。
最近は、こんな光景が朝の教室で見られます。

学校での生活時間も長く、放課後は塾通いや習い事、夜遅くまでのテレビ視聴やゲーム遊び。
小学校の中・高学年ともなると、11時、12時に就寝なんていう子も大勢います。
6〜7時間の睡眠で1日の学校生活が始まるわけです。思考をしたり、からだを動かしたりするのが億劫そうです。
大人社会の夜型生活がそっくり子どもに投影されています。

T「じゃ、少し寝る?」
C「いいの?寝て?」
T「だってこれじゃあ授業にならないでしょ…!」
「そのかわり、あとは集中して授業をやろうね。」
寝られるわけでもなさそうですが、からだをぐたっと机に倒して寝て(?)います。

T「3分間、目を閉じましょう!3分経ったと思う人は目を開けて!」2〜3分でも静かにゆったりすると気分が変わるようです。
「アー、気持ちよかった」なんて言っています。

生活時間を変えることは容易ではありません。
授業に向かう子どものからだづくりを考えざるを得ません。

『あっと驚く目覚まし係り』が誕生したのは、子どものからだの悲鳴がきっかけです。
5分間で気分を変え、ここちよさを覚え、授業に役立つ。その結果、集団の中で成長する…。なんと欲張りな内容でしょう。
係りの子どもと相談しながらメニュー作りをしました。

・気持ちのよい音楽を聞く
・あっち向けホイをやる
・ジャンケンぴんたをする
・校庭を走る・
ドッジボールをする
・大声を出す
・リズムジャンプをする
・手話ダンス…などがメニューとなりました。
訳のわからないような内容もありましたが声を出したり動いたりすることが好評でした。

手話ダンス「魔法のことば」は、低学年から高学年までどの学年も大好きでした。
手話は覚えられないと思い込んでいた私ですが、手話ダンスクリエーターの川西理沙さんに出会ってその思いは消えました。
川西理沙さんとの出会いを話し、みんなでやってみるのです。
手を使って話しかけること、ダンス(というよりリズムをきざむといった感じ)をいっしょに踊ることでコミュニケーションがとれるのです。
見よう見真似の手話ですが、いつも笑顔で歌う子どもたちに出会えます。

「めんどくせ〜」が笑顔に変わるのですから驚きです。

  「魔法のことば」
           川西理沙

きみと きみと  (お互いに相手をさして 目を見合う)お話 したいな
きみと きみと  (相手をかえて 指をさしながら目を見合う)
友だちに なりたい(このときも次々と 相手を決め 目を見合う)

でも 私の声が 聞こえないから(マイムで表現するように)
手で 話そうよ  (両手を広げ ぱっと前に突き出す)
(このとき手と手を合わせるように向き合う)
こころが かよう魔法の ことばだから(忍者のように両手を組み指を立てる) 


2番、3番は 1(お話したいな)が
       2(歌をうたおう)3(遊んでみたいな)に、
       1(手で話そうよ)が
       2(手で歌おうよ)3(手で遊ぼうよ)に、
       なります。

歌詞からもあたたかいものが伝わり、気持ちのよい朝になります。 
「ビンゴ係って いいの?」

五年生の係り決めをする時のやりとりです。

C1「ねえ、先生。本当にいいの?」
T「どうぞ。」
C2「先生、ホントーニ!いいんですか?」
C1「先生、ビンゴって、あのビンゴだよ。」
T「私はさっき『いいです』って言ったでしょ。一度いいと言ったらいいのです。」
C1,2「ほーら!ね!」

他の子たちから「ビンゴ係なんていいの?」と問い詰められたらしいのです。本人たちも不安なのでしょう。
今まで経験のない係り決めだったようで、何回も何回も繰り返し聞いては確認をしていました。

T「でも、クラスのみんなが楽しめて、ためになるように工夫するという条件つきです?」
C1「う〜ん。わかってる、わかってる。」
C2「自分たちで考えていいの?」
T「『…いいの?』じゃなくて、考えなくてはい・け・な・い・の!楽しみにしていますね。」

こうして誕生したビンゴ係。名前は『Go!Go!ビンゴ係』

係りは決めた後、どのように進めていくかが重要です。決定した係を表示するまでの時間は何とか確保できても、
具体的に進めるための相談時間がなかなか取れません。

2〜3日して、「先生、いつやるの?」と聞いてきました。
やる気はあるのですが、どの時間帯にやったらよいのかは全くわからない状態です。

そこでどんな風にやりたいのか、どんな内容を考えているのかなど、話を聞きながら実施できそうな時間を設定してあげます。

朝の時間にビンゴ用紙を配り、ビンゴの「お題」を1つ決めます。各自が給食までに書いておくようにし、給食時間の後半で
係り活動としてやるようにしました。

ビンゴに使う用紙はリユースで、印刷物の裏紙などを使います。9マスぐらいにし、短時間でビンゴになるようにします。

さて、係りの子が考えた「お題」ですが、ためになるビンゴを考えたようです。
始めのうちは偶数、奇数といった簡単な数字でしたが、漢字(教科書の頁を指定)、(へんのつく漢字)、(かんむりのつく漢字)などと
学習に関する内容が続きます。

色、ローマ字、県名、23区名、国名、野菜、ことわざ、四字熟語、学校の部屋の名前など尽きることがありません。

国名や県名は地図を、ことわざや熟語などは辞書を見ながらやっていました。

係「今日のお題は23区で〜す。」
〃「言いま〜す。」
〃「杉並区」
児「あったー!」
〃「練馬区」
〃「立川〜」
児「えっ。立川は区じゃないよ。」
〃「立川“市”だよ。」
係「あっ、そうだっけ?」
〃「じゃぁ〜、八王子。」
児「お〜い、八王子も“市”だよ。」
係「すいませ〜ん、言い直します。」
児「区だよ!23区あるんだから、たのむよ。」
児「ほら、ここに書いてあるよ。」

と言って机の中から、4年生の時に学習した東京都の地図を引っぱり出して係りの子に貸していました。

係「サンキュー」
〃「あっ、荒川区。」
児「やったー、リーチ。」

私は、地図を差し出した子のとっさの判断と、すばやい助っ人ぶりに驚きました。
ふだんは怒鳴り散らしていることのほうが多いかなと思える子ですが、そのさりげない助けぶりを見た時、大げさかもしれませんが、
教育の原点を見る思いがしました。

「係り」と「仕事」はイコールで考えられますが、大人の考える仕事を子どもは「あそび」に転化することができるのだと思います。
ここでいう「あそび」は「表現活動」と重ね合わせられるものです。係り活動でもこの力を発揮できるように支援したいと考えます。
子どもの「あそび」は強制されるものではなく、自発的・主体的なもので、そこには創意工夫もあります。
「あそび」として成立する「表現活動」を係り活動として行うことが可能になればと願います。

近年の指導要領改訂で特別活動の内容は大きく変わりましたから、「係り活動の時間を充分にとることなどできない。」
という声も聞こえてきそうですが…。
「紙人形におまかせー2活用法」

「家に持ち帰ってもいい?」このひと言で作った人形を大切にしたい気持ちが伝わってきます。
教室でも活用したいので2つ作り、1つはその日のうちに持ち帰れるようにします。

○ 遊び大好き
   〜まずは人形を使って自由に遊びます。

何も言わなくても子どもたちは、人形を手にすると遊び始め、楽しそうにおしゃべりを始めます。
人形といっしょに教室の中を走り回る子もいます。プロレスごっこまで始まると、人形が遊んでいるというより子どもたち自身が自由に
遊んでいるといった感じです。

「ねえ、ねえ、いっしょにあそぼ!」という呼びかけのことばも聞かれるようになり、遊ぶ人数やグループを自分たちで変えていく様子が見えてきます。

友だち関係を広げていくことに抵抗はなく、自然な感じです。

これが『人形パワー』です。わたしの役割はあそびのフォローをしたり、遊んでいる内容を見て,《題》をつけたりすることです。

「怪獣の散歩」「遠足に行こう」「お料理するよ」「楽しいお誕生会」「大冒険」など短い題をつけました。

「なんか、お話をつくっているみたい。」という反応とともに、動きも活発になります。
「自分たちで題をつけちゃった。」というグループも出てきました。『一輪車、大好き』のお話ができました。

○ 人形〜作品紹介は展覧会ふうに。

次は出来上がった人形を紹介します。
「わたしたちは、『一輪車、大すき』で遊びました。」というように、グループごとにつけた題を使って、その場で演じて(遊んで)もらいます。

ナレーター役を教師がやると、即興で演じる(遊ぶ)こともできます。
人形そのものを展示すれば作品展ができます。ロッカーの上を少しきれいにしたりして、ペットボトルを立て、人形をかぶせれば、
人形が立ち上がります。

人形の名前や趣味、性格などを書いた作品カードを添付すると、個性豊かな人形は、子ども一人ひとりの存在と重なり合うから不思議です。
「先生、うさちゃんの赤ちゃんをつくっていい?」「勿論,OK!」うさぎ家族の誕生です。
大賑わいの作品展になります。子どもの発想は尽きることがありません。保護者会や授業参観などを利用して
多くの方に見てもらうようにしたいものです。

○ 朝の会・帰りの会に登場

「せんせい、あのね…」と相手を決めて話したり書いたりすると、ゆたかに表現をすることができるのに、みんなの前に出ると
なにも言えなくなってしまったり,言えても小さな声だったりということがよくあります。こんな時、『人形の出番』です。

2〜3人が前に出て、人形を使ってしゃべります。その際、次の3つのことは決めておきます。

1.立ち位置を決める。
(ある程度の声量を出すことができるように)
(見る人・聞く人が、見やすく聞きやすいように)

2.人形の顔をしっかり見て話す。
相手の人形に話すようにします。「あそんだこと」、「見つけたこと」「あっとおどろいたこと」などを話します。

3.話す内容はだいたい考えておく。
短い時間ですが、交代でやるようにします。他の子たちは人形の会話を通して友だちの話を聞くことになります。
会話を見る形になりますが、集中してよく見ます。話の内容も良く理解して聞いています。一石二鳥です。

突然の補教、自習時間などにもできます。子どもたちといっしょにつくることはとても楽しいと思います。
「紙人形におまかせー1作り方」

色画用紙1枚で作った人形を授業などで活用します。低学年でも1時間あれば作れる簡単な片手使いの人形ですが、すごいパワーを持っています。
作り方と実際の活用方法を紹介します。

どこの学校にもある『色画用紙』を使います。子どもが作る前に出来上がりの人形を用意し見せてあげるとイメージがわきますが、
なくても大丈夫です。始めは好きな動物を作るようにするとよいでしょう。

T「机の上に画用紙をひろげます。」
T「新しい画用紙、ピンとしていますね。」
T「今からフワフワ毛の動物をつくるので、    柔らかい紙に変身させます。」
T「ぎゅっとまるめて、お・に・ぎ・り。」教師のやるのを見て、
C「えっ?」

新しいものをあえてぐしゃぐしゃにする経験はあまりないものです。
ちょっとためらう表情を見せながらもだれかがやりだすと、えいっとばかりにやり始め、ストレスが解消したかのようにすっきりした顔で、
喜んでやり出しました。

T「かたーく にぎってね。」
力を入れて丸めます。
教師のやるのを見ながらいっしょにやるようにすると顔を真っ赤にしてがんばっています。

低学年の子だと握力がなく、なかなか丸められない子もいますが、「だいじょうぶ」と、安心させてあげます。

T「こんどはひろげます。」
ひらくときに、やぶけたりしますが、「やぶかないで!」とは言いません。
T「やさしく、やさしく。ゆっくり、ゆっくり。」
と言いながら、実際に教師がやるのを見せると、こどもたちも真似をします。真剣にやる時は息をとめながらやったりしています。

T「さあ、こんどは、机の上でアイロンかけ。」
掌で平らに伸ばすようにします。
C「なんだか、ふわっとやわらかいよ。」
子どもって、本当に前向きな反応をしてくれます。
T「さあ、また、まるめて。」
C「おにぎり、ぎゅっ!」
T「かたーくね。」
T「やさしくひろげて、またアイロンかけ。」
これを繰り返します。

大人で6〜7回、
子どもは10〜15回ほどやると、柔らかいタッチになるでしょう。
「はい、できあがり、合格。」と言ってあげると、
C「ヤッター!」と大喜びです。緊張して、がんばったのでしょう。

柔らかくなった紙をぐるっと筒状にまるめて糊付けをし、片手が入るようにします。腕を入れ、上の方をすこしつまみ、
のり付けすると、耳がとがったりして、動物らしくなります。

目・鼻・口などは工夫して立体的にすることもできますが、別の紙で切り張りをします。これで完成です。

人形作りをしている途中で、人形に話をさせている子どもの様子が見られます。
子どもたちは、人形と会話をしながら作っていることがわかります。ほとんどの子は出来上がるまえから動き始め、
友だちの人形と会話を始めます。何も言わないうちに人形で遊びが始まっています。

「こんにちは、わたし○○、あなたは?」
「ねえ、あそびに行きましょ。」
自己紹介から入り交流を深めていこうと…?

少し経つと、
「先生、もう一つ作りたい!」

犬・ねこ・きりん・ぞう・へび・くま・かえる・うさぎ・恐竜などが大集合。人気の人形作りとなりました。

次回は、人形の活用を紹介します。
「雨で楽しい、イナバウアー?」
 
驚く話が入ってきました。「4,5月の担任がいない、SOS!」と。早期退職をして一年。今春、2年生の教室で時間講師として授業をやることに
なりました。

そこで今回は、最新(?)の出会いの授業を紹介します。

進級して担任が変わったせいかどこか緊張感が感じられます。精神的にデリケートな子はどの学級にもいることでしょう。
出会いの授業は、緊張感を解きほぐすことができたら目標達成です。

「先生が名まえを言うとき、帰ってきたウルトラマンじゃなくて、"帰ってきた大垣先生"と言ったのがぼくはおもしろかったです。」
このような日記を読むと、子どもの緊張感は意外に簡単に解けるものではないかと思ってしまいます。

初日、あいにくの雨。
春は雨でもからだを動かしたいものです。今までやったことがなくて、新しくて、楽しいことをやりたいと思いました。

T「みんなイナバウアーって知ってる?」
C「知ってる、知ってる」
C「金メダル取ったんだよね。」次から次へと得意げにしゃべります。
C「知ってる、こういうの。」と言いながら、からだをそらしている子もたくさんいます。
 
T「スケートの荒川静香さんはそういう格好をしてイナバウアーをやったのですね。」
T「イナバウアーさんというのは人の名前なんだって!知ってた?」
C「えっー。ホント?」
T「みんな荒川静香さんに負けないくらい上手だから、今からイナバウアーゲームをやります。」
C「やったー!」
ゲームと聞いただけで、大喜びです。次の瞬間、
C「どういうの?」

まだこの時点では、果たしてゲームとして成り立つかどうか、わたしの頭の中で整理ができていません。とにかくやってみることにしました。

やり方
・机を1列ずつ並べ、ひとりずつ座ります。
・前の人は座ったまま両手を伸ばして「イナバウアー」と言いながら、からだをそらします。
・後ろの人は前の人がそらしながら伸ばしている両手の手のひらに自分の両手を乗せるように軽くタッチします。
・その時「タッチ!」と言います。
・前の人からうしろのひとへ「イナバウアー」「タッチ」「イナバウアー」「タッチ」と言いながら一番後ろまで送ります。
・一番うしろまでいったら、後ろの人は一番前の席に座ります。
・全員がひとつずつ後ろの席にすわります。
・もとの席に戻ったら終わりです。
これだけです。

やっている最中こんな声が子どもから聞こえてきました。
「ちゃんとまっすぐ後ろにそるんだよ。」
「後ろを向いたらいけないんだよ。」
テレビでたくさんイナバウアーを見たのでしょう。からだのそり方が妙に滑らかでゆっくりなのです。
一生懸命やる姿はとても微笑ましいものでした。慣れてくると競争みたいになってきたので、
「タッチは優しくね。」
とアドバイスを入れました。
同じ教室で生活をしていても触れ合うことは意外に少ないものです。
何気ない「タッチ」をやさしくできる子どもを見て、あたたかいものを感じました。

翌日、
「イナバウアー、またやる?」
と聞かれ、いつまでこのゲームができるか楽しみになりました。
からだで学ぼう2

そんな時、練習のプリントを返した日のことです。
ひとりの子が「もう―!わからないー 。」「やりたくない。」「お母さんに怒られる!」といって急に泣き出したのです。

何事がおきたのかと一瞬驚きましたが泣きじゃくりながらの会話の中で何がわからないといっているのか、わたしは必死で探りました。

問題を解く過程を見てみると間違いはあるものの公式を使って計算はしているのです。計算も何とかできています。

どうやら「円周」そのものを理解していないらしいのです。

「直径×3,14」の意味を理解していなかったばかりか、「円周」はどこの部分かがわかっていなかったのです。

あれほど具体的な例を通してやったのにという思いはありましたが、この子にしてみれば、毎時間ちんぷんかんぷんのことばが
飛び交っていたのでしょう。

ついにキレテしまったのでしょうか。
「できるようになりたいのにわからないじゃないかー!」と訴えているのが伝わってきます。

さっそく「周」のつくことばを探してみよう、とみんなに投げかけました。
「校庭一周」
「池の周囲」
「地球一周」
「周囲の人」
「一週間」
「世界一周」
「なんかまわるっていうこと?」
ここまできただけで泣きじゃくっていた表情が変わっていました。

次に外に連れ出し、直径10メートルほどの円を書き、直径・円周と石灰で書きます。

「先生、なにをやる気?」
「わかるように工夫しているの!」

直径の直線を走る子3人、円周を走る子1人、だいたい走力の同じくらいの子に走ってもらうことにしました。
円周を走り終わるのと、直径を3人が走るのとがだいたい同じになります。

泣き出した子には「円周を走る」役をやってもらいました。
あえて「直径を走りたい人―!」「円周を走りたい人―!」と言ってやりたい人を募ります。

「もう一回、こんどは直径を走らせて。」とか「こんどは円周を走る。」など、目の前に書かれた円を見ながら、実際に走ることでことばへの
抵抗は完全になくなったようです。

「直径×3,14」=「円周」これは予想以上に高いハードルだったようです。 
「授業 《からだで学ぼう》」
                          
教師の話を聞いている子どものからだから「早く終わらないかなー」というサインが出ている時があります。

動きたくてうずうずしていたり、話に興味がもてなかったりする時です。

大人は頭で学ぶことができますが、子どもはからだで感じたり動いたりしながら学ぶことが多いのだと思います。
長い時間じっとして聞いていることは、あまり子どもらしい姿ではないのではないかと感じています。

からだを動かして学び合えるような授業をつくりたいと思います。

○ アスレチックリーダー

体育の授業の準備体操です。体育の時間にからだをつかうのは当たり前なのですが、友だちとコミュニケーションをとりながら
からだを動かす準備体繰です。

演劇的に言えば「ウオーミングアップ」でしょうか。

どの学校にも校庭には鉄棒・ジャングルジムなど固定施設があります。
タイヤや丸太などを含めると「アスレチック」のようなので、「アスレチックリーダー」と名づけました。

5人ぐらいで、グループごとにやります。一人が「リーダー」になり、先頭に立ちます。リーダーはどの遊具でどんなことをやるか考え、
他の子はリーダーのやったことを真似します。

例えば,リーダーが鉄棒で前回りをしたら、後ろについている子もみんな真似をして前回りをするのです。

鉄棒の次はタイヤとび、次はのぼり棒などと固定施設を使った運動をやります。次はどの遊具に行こうか考えるのはリーダーです。

すぐ決められる子いれば、迷っている子もいます。「早くきめてよ。」といそがされることもあるし、「そんなに早く行かないで」と
ブレーキをかけられたりもしますが、多くの子はリーダーになることがとても嬉しそうです。

リーダーは交代で、全員がやれるようにします。

低学年ではリーダーをやりたくて、順番争いが起きたりもします。

自分のあとにみんながついてきてくれることはなんとも言えない快感のようです。

始め、すべりだいやブランコに集中してしまい順番を待ったりしていました。順番を待つのは時間的ロスが大きいので、
すいている方へ移動するよう促したり、校庭の真ん中でできるように「走る」「歩く」「跳ぶ」なども行なうようなルールを作ったりしました。

校庭中をあっちこっちと走り回るので運動量も増え、一箇所に集中することもなくなりました。

わざと難しいことをやってみたりする子もいます。
体力も運動能力も全く違うので真似ができない子もいます。

そんな時どうするかは「指導」しておかないと嫌いになってしまう子が出るかなと心配はしましたが、その必要はありませんでした。

のぼり棒で一番上までのぼれない子には、「のぼれたところまででいいよ。そこで10かぞえて!」
と、一人ひとりに合ったメニューをリーダーは提示したり、「3回挑戦してできなかったら先に進むぞー」などと、臨機応変、
誰でもできるように内容を調節していました。

心配して、先回りをして余計なことを言うところでした。

「鉄棒でおさるになったよ。」「おさるがふねをかきました」の読み聞かせを覚えていたのでしょう。
リ―ダーの真似をして鉄棒にさかさまにぶら下がったようです。
こうもりといわれる技ですが、このグループの子はそれをおさるに見立てたのです。「Aちゃんが大ザルでみんなが小ザル!」

この時から「アスレチックリーダー」ではなく「大ザル小ザル体操」と名前が変わりました。
さらに、サルがうさぎや犬に変わったりしました。蛇に変わった時は体育館内を這いずり回り、くたくたになっていました。

低学年の動物アスレチックは、準備体操ではなく授業そのものになっていました。
   
つぎは算数や国語の授業でからだをつかいます。
授業 《オンリー1》

「オンリーワンでHAPPY?」「個性あふれるオンリー1」「人それぞれ!」
 このような題で日記を書いてきたのは、5年生の子どもたちです。

「今日は、生まれて始めての授業をしました…」という書き出し、「次はいつやるの?」と催促をする様子などからこの授業への思いが伝わってきます。

「ナンバー1よりオンリー1」をモットーにこの授業をやることになったのは、十数年前に斎藤晴雄先生(さいたま教育文化研究所副所長)の
お話を聞いたときからです。

"一人1分という持ち時間"を子どもたちに与え、1分間の内容は各自で考えるようにします。
それを順番に発表してもらうのです。35人の学級なら35分かかりますから、全員が登場すると1時間の授業が出来上がります。

授業参観の時にこのような授業をやられたというお話でした。

当時はまだ大ヒット曲、「世界にひとつだけの花」は歌われていませんでしたが、"オンリー1"のことばがとても心に残り、
ぜひ取り組みたいと思いました。

3年生を担任している時でした。すぐにでもやりたいと思いましたが、全員が発表したり、演じたりすることは容易なことではないという
実感の方が大きかったので、足踏み状態が続きました。

たかが1分、されど1分。難なくやってしまう子もいますが、人前で、しかも参観の日ともなれば、プレッシャーを感じる子も少なからずいます。

38人全員のことを考えると躊躇する気持ちがないわけではありません。「子どもを信じる」ことが要求される一瞬でした。

「オンリー1という授業をやります。」足踏み状態から脱出するための宣言です。
「どんなことをやるの?」「なに?それ。」と質問が相次ぎます。

1分間で自分のやりたいことをやる。得意なこと、見てほしいこと、自分らしいことをやり、みんなに見てもらうのです。と説明すると、
「えっー!」「たった1分で?」「友だちといっしょじゃだめ?」などと文句を言いたげですが、
「何をやろうかな?」「先生もやるの?」と気分はノリノリです。

新しいことをやるとか、見てもらうという興奮が伝わってきます。

考える時間や準備する時間を充分にとり、3学期最後の授業参観で実施することにしました。

やる内容を決められたかを事前に把握したところ、ひとりだけ「オレは寝る」と冗談交じりに言っていたことが気になりましたが…、
そのまま当日を迎えることになりました。

子どもたちはワクワク、興奮気味。担任の私は、なにが起きるかわからない期待と不安でドキドキでした。

3年生、一人ひとりが大熱演(?)の《オンリー1》を紹介します。

・連続縄跳び
・リコーダーですきな曲を演奏する。
・体操・いろいろなブリッジをやる。
・箸で豆をつまみ、別の皿に何個移せるか?チャレンジする。
・西武新宿線の駅名を全部言う。(往復)
・絵本の読み聞かせ。(朗読)
・こま回し、1分間連続。
・スピード剣玉(もしかめ)
・毛糸のマフラーを指で編む。何段編めるか?
・歌を歌う。
・教科書の物語を読む。
・空手の技を見せる。
・早口ことばを言う。
・お笑い漫才をする。
・ひとり芝居をする。
・馬跳びをする。
・側転をする。
・皿回しをする。
・寝る。

「寝る」といった子は本当に寝たのです。ぐるっと周りに見ている人がいる教室のど真ん中で―。

みんなは「いつまで寝るんだよ」「すごい、本当に寝ているよ。」「長いね、1分って。」などと大騒ぎしながらもじっと見ていました。
そして最後まで見守り、大拍手でした。

「一番の役者でしたね。」と保護者も感心していました。多くの視線の中で寝る?なんてすごいと思いました。

高学年の《オンリー1》は少し工夫を加え《オンリー1劇場》と名づけました。
進行も子どもたち全員でやるようにしました。

教室の半分を舞台にします。幕は使いません。観客側には椅子をならべます。舞台には常に4人の子どもが登場するようにします。

4人の子どもは次の通りです。
1.〜次にやる人 〜     上手の端に椅子を置き、座って待つ。
2.〜演じる人  〜     中央で演じる。やる内容によって場所は変わる。
3.〜終わった人1〜     下手後方に椅子を置き、次の人がやるのを座って見る。
4.〜終わった人2〜     下手前方に立ち進行役をする。見た感想を言い、次に演じる人(1で座っている人)を紹介する。
                   紹介し終わったら観客側に戻る。

1→2→3→4と、ローテーション形式にし、演じるだけではなく、進行役をしたり見た感想を言ったりします。

かなりの負荷はありますが、「話す」「聞く」「見る」「演じる」の4役を一気に体験できる場となります。

高学年ではこのようなことも体験させたいと思います。

ローテーションの方法はわかりやすく板書をし、進行がスムースにいくようにします。

《オンリー1劇場》の翌日は、たくさんの日記帳が提出されました。学習日記は自主的に書くのですが、この日はオンリー1授業のことが
たくさん書かれていました。

全員分の感想を書いてきた子がいたのには驚きました。

よく見聞きしていたからこそ書けたのでしょう。日記から抜粋してみます。

・ メダカを観察して絵に描いて…、さすが生き物好きなMくんだと思いました。
・ キーボードの曲は難しそうでしたが、オンリー1にふさわしい曲でした。
・ ちゃんと1分で終わる本を選んですごい、何回も練習したんだろうなって思いました。
・ 縄跳びが終わってもハアハアいっていたのですごく疲れたんだなあと思いました。
・ 大きなボールでお手玉をやったのでびっくりしました。
・ コサックダンスだけでも大変なのに、リズムに合わせて早口ことばを言うなんて驚きました。
・ 庭にきた雀を描いて俳句を作るなんて思いつきもしなかったです。
・ 1年生からやっている体操の成果を見せてもらいました。Hさんらしいです。
・ ジャグリングはいつ見てもじょうずです。
・ みんな個人差があってとても良かったです。

ふだんは文句を言ったり、けなしたりしているのに、あたたかい目でお互いを見ていることに驚きました。

・ うちの子は何をやるのかとハラハラしていましたが、おもしろかったです。
・ 皆さんすごいですね。よく考えていて―。
・ ほこりだらけのギターを出してきて、練習していた訳がわかりました。
・ もう次は…なんて計画を立てていますよ。次はいつですか?
・ 恥ずかしい、何を考えているかわかりません。まさか本当に寝るとは…!(寝ていた子の保護者)

参観後の保護者会では、子どもの姿を一人ひとり思い浮かべながら語り合うことができ、みなさん饒舌でした。

《オンリー1》の授業は、色々な教科と連動してやるとさらにおもしろい展開ができます。

家庭科では「家族と家庭生活」の単元でやります。家族の一員として誕生した喜びを、「オンリー1」と重ねることで
家族の思いや願いを知るチャンスとなります。

一生懸命やっている友だちの姿を見ることは、友だちのよさを見つけようという道徳のねらいに自然に迫ることができます。

学級活動の授業では「楽しい計画を立てよう」といった自立をめざす活動として、あるいは表現する場として組み立てることができると思います。

見たり聞いたり、感想を発表したり、書いたりといった活動は国語における基礎基本の学習そのものです。

どの授業も一人ひとりの出番をつくる授業になることは言うまでもありません。

担任にとっても楽しい授業となります。とかく我が子だけに目がいきがちな参観授業を、「子ども」と「子ども集団」に目を向けることができる
価値ある授業になると思いました。

「ことばで遊ぼうV」

「学ぶ⇔まねぶ」といわれますが、子どものまねっこ精神は成長のもとといっても過言ではないと思います。

「かたつむり」  リューユイ

かたつむり おかしいな
目玉が つのの 上に ある
おかしくない おかしくない
目玉が 上なら よく 見える

かたつむり おかしいな
おうちを しょって あるいてる
おかしくない おかしくない
 てきに あったら もぐりこむ

かたつむり おかしいな
おなかが そっくり あしになる
おかしくない おかしくない
 あしが おおきけりゃ 安心だ

かたつむり のろいなあ
うごかないのと おんなじだ
のろくたって のろくたって
 とまらなけりゃ いいんだよ

この詩をおかしいグループとおかしくないグループに分かれて学級で読んだ翌日、「だんごむし」の詩をつくってきた子がいました。

 「だんごむし」
だんごむし おかしいな
あしが8ほん ありました
おかしくない おかしくない
8ほんあれば あんぜんだ

だんごむし おかしいな
ひろわれて だいにんき
おかしくない おかしくない
ひろわれても だいじょうぶ

だんごむし おかしいな
たべられるくせに
おかしくない おかしくない
さっと みをまもってるから

だんごむし おかしいな
やっぱり おかしいな
おかしくない おかしくない
おかしくたって かわれる(飼われる)

 1年生の1学期、習いたてのひらがなで書いてきたのはIくん。いつも時間内に作業が終わらなくて…その度になきべそをかいてしまう。
それでも最後までがんばる子でした。「のろくたって とまらなきゃいいんだよ」と。だんごむしを見ながら、広告の裏紙を4枚も使って書いた
「まねっこの詩」、どれほど時間がかかったことかと思いを馳せずにはいられませんでした。

2年生の学級で「まねっこの詩を作る」ことにしました。まねっこをするのは次の詩です。

また こんど 〜すずきいつろう〜

 おとうさん 
 あしたはゆうえんちに 
つれてってね
    ―いそがしいから
     またこんど…

 それでは
 おかあさん
 デパートに
 つれてってね
    ―ようじがあるから
     またこんど…

「ある!」と共感しながらつくったまねっこの詩を紹介します。
  
@ おとうさん 
こうえんに 
つれてってね
おしごとあるから 
またこんど
  おかあさん
  デイズニーランドに
つれてってね
びんぼうだから 
だめ
  ケチ ケチ いじわる
  ひとりでいくから いじわる
    ママ めんきょしょ ちょうだい
    くるまのうんてんできないから だめ
               
 A おとうさん
   えいがかんに
つれてってね
  だめ 
家でビデオを見なさい
   おかあさん
   びじゅつかんに
   つれてって
      だめ
      本で見なさい
               
 B ――
   しずおかけんに つれてって
      ロマンスカー代 かかるから…
   ――
おだわらじょうに つれてって
     たかいところは すきじゃないから…

C ――
こうきゅうホテルに つれてって
      バカ そんなこうきゅうなところにいけるか
   ――
ちきゅうのまん中に つれてって
      だめだめ
      小さいからって むじゃきなことを言うんじゃない
               
 どの子の詩にも生活がにじみ出ています。吹き出しそうになったり苦笑したりの作品ばかりですが、発表中に「家も…」とか「家なんかね!…」と
おかしな自慢話が始まります。聞いていると子どもの目や子どもの心を感じ取ることができます。まねっこをしたりクイズ形式にしたりすることで、
楽しみながら言葉を駆使していきます。作品は学級通信や保護者会で取り上げると子どもの見方が変わったり交流も広がったりしていくと思います。

「ことばで遊ぼうU」
               
"いつも詩のある教室"でありたいと思っています。一人で読むのもいいけれど、学級全員で読み合うことで詩に対する関心は
ぐんぐん深まっていきます。「ひらがな」や「カタカナ」に親しめる詩を探したら、たくさん見つかりました。

◎あいうえおの うた     〜まどみちお〜
  あかい え あおい え  あいうえお
  かきの き かくから   かきくけこ
  ささの は ささやく   さしすせそ
      ――― 以下 略 ―――

◎がぎぐげごの うた      〜まどみちお〜
  がぎぐげ ごぎぐげ  がまがえる
  がごがご げごげご  がぎぐげご
  ざじずぜ ぞろぞろ  ざりがにが
  ざりざり ずるずる  ざじずぜぞ
      ――― 以下 略 ―――

◎きゃきゅきょの うた     〜まどみちお〜
  きゃらきゃら きょろきょろ きゃきゅきょ
  しゃばしゃば しょぼしょぼ しゃしゅしょ
  ちゃかちゃか ちょこちょこ ちゃちゅちょ
      ――― 以下 略 ―――

◎五十音            〜北原白秋〜
  あめんぼ あかいな ア、イ、ウ、エ、オ
  うきもに こえびも およいでる。
  かきのき くりのき カ、キ、ク、ケ、コ
  きつつき こつこつ かれけやき。
      ――― 以下 略 ―――

 これらの詩は入門期の文字指導の時にも教材として使います。「あ」の字の学習の時は「あ」だけは書いて、他は読みます。
一行ずつ、又は一連ずつ声に出して読みます。文字指導が終わった頃には、全文を教師と子どもでかけ合いで、グループに分かれて交互に、
一人ひとりリレー式になど、様々な形で読みます。だんだんリズミカルな読みができるようになり、からだまで動き出してきます。
ことばに合わせて次から次へとからだが動きだします。低学年の子の素直な表現は微笑ましいものです。立ち上がったり、歩き出したりして…。
友だちにつられて何となく歩き出す子が出てきたりすると、教室の中はごちゃごちゃになってしまいますが、自由な動きを見守ります。
ふたりで手をつないで跳ねるように読んでいる姿は、詩を楽しむというより友だちとの関わりを楽しんでいるように見えます。
遊んでいるようにしか見えないこともしばしばですが、こうした「ことばで遊ぶ」時間をたっぷりとることを大切にしたいと思っています。
お互いの表現を見合う形に発展させるのは、このような体験を経てから行います。

「せんせい、しを つくってきたので よんでいいですか。」と、朝の会で発言した子がいました。
何回かことばで遊んでいるうちに、自分で「あいうえお」を読み込んだ詩を作ってきたのです。
  
ぴくにっく  
あいうえおにぎりたべたいな
かきくけこんどはなにしよう
さしすせそうだ、ぴくにっく
たちつてとんぼがとんでいる
なにぬねのうさぎはねている
はひふへほんとにうれしいな
まみむめもりがおどってる
やいゆえよしきたおどろうよ
らりるれろーぷうえいにのりたいな
わいうえを(お)うちにかえろうよ


一枚の紙に絵入りで仕上げていました。
「すごいね。すごい、すごい!」
"学習したことを家で遊ぶ"―これこそ"真の学習"?と思っているわたしにとってこれほどうれしいことはありません。
「すごーい、○○ちゃん」と、何度もほめたくなってしまいます。

 読んでもらったあとは、クラス全員が加わって読むようにします。
全:あいうえ
○:おにぎりたべたいな
全:かきくけ
○ :こんどはなにしよう
といった具合です。
「ぼく、おにぎりの方をよみたい。」という子が出てきたりすると、2回目も読みます。
「なんかぴくにっくに行きたくなっちゃったよ。」と、感想もいろいろです。
「豆詩人」にみんなで拍手をして朝の会は終わります。時間オーバーです。

翌日から続々と「豆詩人」が登場します。子どもの"まねっこ精神"は成長点のようなもの。大切にしたいです。

司会:「お話がある人はどうぞ。」
◇◇:「はい。しを つくってきたのでよみます。」

   ずこうのうた
  あいうえおりがみ たのしいな
  かきくけこんきで つくろうよ
  さしすせそりも つくれるよ
  たちつてときどき ごみつかう
  なにぬねのりも つかってね
      ………
このような朝の会がしばらく続くのです。

保護者からこんな便りが届きました。
「――テレビも見ず一生懸命書いて学校に持っていきましたが、読んでもらえなかったといってかばんに入れっぱなしです――」
「えっ―、知らなかった―!」「ごめんなさーい。」
これが正直な気持ちです。本人は、友だちの話を聞いて感想をいっぱい言っていたのですが、自分が書いたことはひと言も言いません。
言い出せない何かがあったのでしょう。保護者の手紙がなかったら?と思うとぞっとします。でも、この子、クラス一の元気者、おしゃべりも、
いたずらも一番です。何で言えなかったかわかりませんでしたが、読んだあとなんとなくわかりほっとしました。文字を何回も書き直したらしく、
紙はくしゃくしゃになっていました。

    せんせい

あいうえおおがきせんせい
かきくけこうちょうせんせい
さしすせそろそろきゅうしょくだ
たちつてとうばんがんばろう
なにぬねのろのろあるいてる
はひふへほたてがおいしいな
まみむめももはおいしいな
やいゆえよーよーたのしいな
らりるれろうそくつけちゃった

学校大好き、給食大好き、いたずら大好きな子の生活感たっぷりの、 おもわず笑いたくなるような詩でした。
わたしはこの日から「さしすせそろそろきゅうしょくだ」「たちつてとうばんがんばろう」といって給食時間にすることにしました。

これらの詩は作者名をつけて黒板や掲示板にはり出してあげます。くしゃくしゃのかみは高級紙に見えたりしますから。

何日かたつと、一工夫こらした作品があらわれました。真似から創造への一歩でしょうか。「ひとつぬかしあいうえお」です。

ひとつぬかしあいうえお

 あいうえ えんとつ もくもく
 かきくけ けむしを みつけたよ
 さしすせ せなかが かゆい
 たちつて てれびを みた

「あーそうか。」
「なるほど。」
「えっー」
「そんなのいいの?」
とか子どもたちの反応はいろいろでした。「えっー。」なんていわれたので、読んだ子は涙ぐんでしまいました。
ここは教師の出番です。
今までと違うものを考えてきたことを絶賛します。すごいことだといってあげます。ここから創造が芽生えてくるのですから…。
それにしても「ひとつぬかし」という題は、なかなかの題だと思いましたが。子どもの発想にまた驚かされました。
 
「ことばで遊ぼうT」

最近は、凧揚げ・こま回し・羽根つき・双六・かるたとりなどの「正月遊び」をやる姿はほとんど見られなくなりました。

百人一首などは全く知らないという子も結構います。

これらの「昔遊び」を学校で時間をとってやると、間違いなく熱中します。

私はどの学年を担任しても、3学期の始めにはかるた遊びをやることにしています。

かるたの読み札には、声に出して楽しめることばがたくさんあるからです。他の学習にも役立つことが多いです。

T「あしたはかるた大会をやります。」
C「やったー!」
C「先生、勉強はやらないの?」
T「かるた大会が勉強です!」
C「えっー。うそ―っ。」

かるたが勉強だなんて目から鱗?これだけで明日は楽しそうだと感じ、心が解放されるようです。

その嬉しさが、「えっ、うそ―っ。」というワンパターンの表現なのですね。わかっていても笑顔で一言。

T「ウソではありません、本当です。私はウソはつきませんから!」
C「?…そういうウソじゃなくてー…!」
と、困った様子。これ以上は追求しません(突っ込みません)。

T「家にかるたがある人は持ってきていいですよ。」
C「どらえもんのでもいい?」
T「勿論、かるたなら大歓迎。貸してくれる?」

こんな調子で前日に予告をし、かるた大会は行われます。

「先生、かるた持って来たよ!」
「おはよう。」の挨拶より先にかるたを持ってきたことの報告です。子どもの挨拶ってこんなものかもしれません。
だってこの日は"かるた大会"のために学校に来たようなものかもしれませんから。

私はこのような子どもの姿の中に、前へ前へと進もうとしている子どもらしいエネルギーを感じます。

持ち寄ったかるたは、どらえもん・サザエさん・キテイちゃん・動物・怪獣・オバケなど。どれも大切そうです。
なかには「交通安全かるた」「栄養かるた」なんていうのもありました。幼稚園の卒園祝いだそうです。
「給食残さず食べる子、元気な子」など、入学前の"指導かるた"みたいでした。

昔ながらの「いろはかるた」はありませんでした。

江戸の庶民文化を映し出しているいろはかるたは6年生の歴史学習でとりあげてもおもしろい授業展開ができます。

『い』は、東京では『犬も歩けば棒に当たる』、京都では『一寸先は闇』、大阪では『一を聞いて十を知る』と地方によっても違うということを
歴史学習のなかで知りました。

いろはにほへと…を聞いたこともない子は低学年では大勢いますし、一度は体験してほしいかるたです。

子どもたちの持ってきてくれたかるたと私の持っているかるた、好きなかるたを使って班ごとに始めます。

4〜6人で読み手は交代しながらやります。
ルールは「読み手が、読み札を全部読み終わってから、取る。」ことです。しっかり「読む」ことは学習のポイントですから。

5・7・5調など、ことばのリズムを大切にします。読み手がすらすら読めると調子もよく、だんだん前のめりの姿で盛り上がってきます。
読み手がつっかえてしまうと、「なんだよー」と怒り出す子も?そんな時は二人で読むようにアドバイスをします。

「いろはかるた」はかるたとり以外にも色々な使い方をします。

例えば、ばらしたカードを全員に1~2枚ずつ配ります。
自分のカードを見て、い・ろ・は・に…の順にさっと立ち、声を上げ、さっと座ります。

始めは、最後まで言えるかどうか?言えるようになったら動作もいっしょなので集中して時間短縮をめざします。
2チームに分かれてやると、ゲーム感覚で楽しめます。

これは、「あいうえおの五十音」を言うことができなかった高学年とであった時に考えた遊びです。

国語の学習用に漢字かるた、部首かるた、四字熟語かるたなど、楽しみながら学習を進めることができるかるたもたくさん市販されています。

授業で使った後は、それらを教卓の上に置いておき自由に使ってよいことにしてあげます。

1年生の3学期、生活科の「遊び名人になろう」という単元学習では、昔遊びをたくさんやり、学習のまとめをかるたにしました。
できるようになるコツや秘訣をかるたに読みこむのです。

「へーっ」とか「なるほど。」などと言いながら、かるたとりを楽しみました。
絵札とともにどれも個性的なかるたになりました。それらを掲示すれば教室の学習環境もバッチリです!
 
☆はねつきは ちからをぬいて ちかくでね
☆こままわし ひくようにまわせば よくまわる
☆あやとびは 右と左を かたまで バッテン(縄跳び)
☆けんだまは 3本ゆびで のせてもつ
☆お手玉は たかくなげては いけないよ
☆まりつきは こしをまげて つくんだよ

この子たちが2年生になり、1年生といっしょに昔遊びを教えることができました。

中学年では自作の郷土学習かるた、高学年では環境学習や平和学習などどんな教科でも楽しめます。
また発展させることでことばとからだを磨き、友だちとのつながりも生まれてきます。

「楽しい班になりそう?!」

冬休みが終わって3学期が始まります。長い休みのあと、すぐ学校生活の軌道にのるのは難しいです。

でも「席替え」のひと言には「ヤッター!」という大歓声のリアクション。

子どもにとっては一大関心事なのですね。

学級活動の時間は、新たな出会いに対するワクワク感を大いに楽しむ授業を!  

席替えの方法はいろいろ試みますが、その方法については別の機会にご紹介できれば…。

席が決まったらそのワクワク感を裏切らないためにも「班づくり」のためのコミュニケーションゲームをやります。

学習や生活をいっしょにする班のメンバー、「この班で良かった!明日からなんか楽しそう!」と感じることができるか否かを決める
重要な時間です。

低学年ではステレオゲームやリズム合戦。声を出すことで心を合わせたり、ことばをリズムにのせたりしてみんなで楽しみます。

『ステレオゲーム』
〜5人班では「お・と・し・だ・ま」などの5文字のことばを考え、一人が一文字ずつ言うことにします。
「せーの!」で5人が一斉に発声する。それを聞いて5文字のことばをみんなで当てるというゲームです。

班で相談したり、アンサンブルの発声を楽しんだり、一生懸命聞こうと口元をしっかり見たり、集中する姿が見られます。

「聞きなさい。」と教師が言わなくても大丈夫です。声を出すことで元気が出ます。

『リズム合戦』
〜「膝たたき」と「拍手」を2拍ずつやりながら班の名前をそのリズムに合わせて言っていきます。

『例』 
「1班・1班(膝たたき)」「3班・3班(拍手)」と1班の子が言ったら3班の子が「3班・3班(膝たたき)」「○班・○班(拍手)」とおくっていきます。
4拍子のリズムにのりながら班対抗戦のゲームにします。

リズムに合わせて班の名前を言えるかがポイントです。だんだん速いテンポになると間違ったりして笑いが出ます。
もっとやりたいと思うところでやめますが、間違って笑わせてくれた人には感謝です。

班には名前を付けたほうが帰属感のようなものが生まれるでしょう。
休み中の出来事を交流することは、教師が子どもを理解するうえでも時間をかけたいところです。
一人一人が順番に発表し、みんなで聞くというのは辛いものがあります。

聞いているように見えても「ただ聞いているふりをしている」なんていうこともありそうです。
こういう悪い習慣をつけてしまう時間は一番良くないと思います。
ではどうするか?中・高学年での実践です。

まずは、班の友達同士(5〜6人)で交流します。
おしゃべりのノリでいいと思いますが一応進行係を決めちょっと班会議風にします。

一通り終わったら班の代表Aを決め、Aの出来事をクラス全体に聞いてもらいます。

ただし、Aが発表するのではなくBがまるでAであるかのように話すのです。
聞いている人には本当は誰の出来事か?を当ててもらうのです。クイズですね。

他人の出来事ですからオーバーに演じながら話すようにします。このときも班のなかで進行役を決めます。
質問に答える役などをつくって全員が活躍できるようにします。全員を認め、ほめることのできる授業です。

やがては、一人の話を班のメンバーで劇化をして紹介できるようにするためにもほめることをたくさん探すのが教師の役割です。